“最近、中学校のときの同級生で、仲の良かった女の子と再会しました。
彼女は私の中学校での一番の人気者で、
どんなときでもきらきら輝いていて、誰かの悪口を言うこともなく差別もしない。
誰もが彼女と友達になろうと声をかけたり、何かものをあげたりまでする人もいた程、本当に素敵な子でした。
私はその子とは正反対で、いじめられっこで、根暗で、周りを常に憎んでいるような子でした。
私がいつものように悪口を言われて泣きながら放課後の教室で帰る用意をしていると
彼女が私に近づいて、そっとハンカチをくれました。
「さっき鼻ふいちゃったから、汚いかもだけど!」
と、きらきらした笑顔でいうんです。
私はきらきらしたその子がうらやましく、憎く思えて
いらない、とつっぱねました。
それでも彼女は「やっぱり鼻ふいたのは嫌かー」と笑って
面白おかしく話しかけてくるので、
私は少し楽しくなって、少しだけ笑いました。
それをみて彼女は「笑ったらかわいいよ!」と大きな声で言いました。
人気者で可愛くて素敵な女の子が自分を可愛いと言った
そのことがたまらなく屈辱的に感じて
そんなことはありえないと、怒りくるって走って学校を飛び出したのを覚えています。
それから6年がたって、私はダイエットや化粧を勉強して
以前のように周りから馬鹿にされることもなくなり
都内のガールズバーで働くようになりました。
働いていくうちに1位の女の子の話を女の子たちがしているのを
よく聞くのに、姿を見たことがないことに気づきました。
どうやら1位の子は、常にお客さんがいるので待機する事がなく
女の子たちとの交流がめったにないらしいのです。
大抵夜のお店の1位というのは、悪いうわさがあったり性格が悪かったりするのですが
その1位の子は、みんなが口を揃えて褒めているんです。
1位なのにやさしい、あんな素敵な子はいないと。
それからしばらくもその子には会うことができなかったのですが
私が2位になり、お店でお祝いをしてもらった日に
やっと会うことができました。
それは6年たっても変わらないきらきらしたあの子だったのです。
「2位おめでとう。このまま私を抜かしてね」
と笑うその子は私に気づいていなかったので、自分から名乗ると
きらきらの大きな瞳をさらに大きく開いて
「すっごくきれいになったね!私、言ったでしょ、可愛いって!久しぶり!」
と、私をだきしめてくれました。
数え切れないほどあるお店のなかで再会できたことは、本当に奇跡でした。
彼女が褒めてくれて、本当ならいいと
彼女のようになりたいと思ってがんばった自分に
神様がおめでとうのご褒美に再会させてくれたような気がしました。
彼女は今でも輝き続けていて
自分の力で夢をかなえると、
今は看護学校にいっているそうです。
私が水商売でも卑屈にならず、堂々と働いていられるのも
彼女の輝きのおかげです。
わたしもいつか、彼女のように
誰かを照らせるような女性になれるように、日々努力しています。”